電子線誘起電流法(Electron beam induced current;EBIC)と走査透過電子顕微鏡(Scanning transmission electron microscopy;STEM)を組み合わせて、試料(半導体)の構造と電気的な性質を同時に調べる方法です。
図1のように、半導体に収束電子線を照射すると少数キャリアが生成されます。少数キャリアは、周りに拡散していきますが、やがて多数キャリアと結びついて消滅します。ところが、接合(例えばpn接合)が拡散距離の範囲内にあると、少数キャリアはその電界で引っ張られ、(接合を結ぶ)外部の回路に電流が流れます。これが電子線誘起電流です。
電子線誘起電流は、電子ビームの接合からの距離や途中に欠陥があるかどうかにより変わりますから、電子ビームの位置を変えながら電子線誘起電流を測ることでこれらのことが分かります。(電子ビームの位置を変えながら電子線誘起電流を測定することで、接合の位置が分ります。電子線誘起電流の方向は、接合の向きによって決まるので、電子線誘起電流を測ることで接合の向きも分ります。また、少数キャリアの寿命が短くなる箇所(格子欠陥)があると、電子線誘起電流量が減るので,欠陥の電気的特性も調べられます。)
図2は、STEM電子顕微鏡の中での測定・観察のようすを描いたものです。STEMでは、薄い試料に電子ビームを走査しながら照射し、透過はとか回折波の強度を測ることで、試料の構造を観察します。この時同時に電子線誘起電流を測ることで、電気的特性を反映したEBIC像が得られます。
EBICは、走査電子顕微鏡(SEM)と組み合わせて利用されますが、SEMでは表面の構造が観察されます。これに対しSTEMは、通常の透過電子顕微鏡(TEM)と同じで試料内部の構造(欠陥)が観察されます。さらに薄い試料を用いて観察されますので、SEMを使ったEBICに比べて高い空間分解能の観察が期待できます。



図1


図2